財団の活動
微生物機能探究コンソーシアム(略称、微生物コンソーシアム)
大隅基礎科学創成財団では、アカデミアと企業が協力して微生物学の発展を図ることを目的として、2020年12月に微生物コンソーシアムを立ち上げました。
微生物は地球上に最初に誕生し、そこからの40億年をあらゆる環境に適応して生き抜いてきた生命体です。そして、地球環境や生態系における微生物の役割やその及ぼす影響は極めて大きく、それを対象とする研究にもまだまだ未知の領域が多く残されています。微生物のもつこのような無限の未解明機能の解明は、基礎・応用を問わず人類にとって将来への重要課題といえます。また、生命は単細胞の微生物として地球上に生まれ、我々を含む全ての生物は、微生物の時代に確立した共通基盤の上に進化してきました。従って、普遍的な生命現象の解明には、今後ますます微生物を用いた研究が重要になるでしょう。微生物を用いた生物学の基礎研究は、酵母を用いて明らかにされたオートファジーに代表される諸成果を見てもわかるように、極めて効率的・有効であり、微生物学の発展によって、物質生産や分解・環境浄化、感染症対策など、社会を変えるようなブレークスルーを生み出せる可能性があります。
微生物コンソーシアムの概要
目的
アカデミアと企業が協力して微生物学の発展を図ることを目的とする。
体制
活動
- 微生物学の課題、展望の議論
- 基礎研究者と企業との連携による微生物学における重要課題に関する研究の推進
・研究テーマを設定して、大学などの所属組織を超えた「バーチャル研究所」として研究を進め、テーマ別定例会を月1回程度開催する。
・テーマ別定例会の成果を共有し相互触発を行う企業アカデミア合同セミナーを年3回程度開催する。
- 微生物学の将来を担う研究者の育成
- 企業と大学の連携による研究拠点の形成
- 企業の課題解決に向けた活動
- 微生物学に関する普及、教育活動
- 関連した異分野との交流
- 関連した学協会、財団との連携
微生物コンソーシアムの活動状況
活動の中核となっているバーチャル研究所は、微生物を、普遍性、多様性、相互作用の3つの視点から捉えて理解を進めることとし、研究テーマを設定して3つのグループで2020年に活動を開始しました。2022年4月から光合成をテーマにしたグループ4が加わり、4グループで活動しています。
さらに2023年4月からはプラスミドデータベース構築の時限プロジェクトの研究を推進しています。
この活動につきましては、財団ニュースレターNo6の記事もご参照ください。
【バーチャル研究所の活動】
- グループ別に年6回のオンライン定例会を開催し、活発な議論を展開しています。
- 全会員による全体会を年3回開催し、交流を深めるとともに意見交換を行っています。
グループと研究テーマは以下となっています。今後グループを増やしていく予定です。
グループ1【普遍性】
代謝と増殖・生長をつなぐ細胞の共通基盤の理解:リボソームを中心とした生長制御
グループ2【多様性】
微生物未知機能の同定と機構解明:非モデル微生物の特殊な代謝、生体成分
グループ3【相互作用】
他の生物と共生する微生物の生き様の理解:微生物間での遺伝子のやりとりの理解
グループ4【光合成】
微生物の光利用戦略の理解 ~光合成、光環境応答を中心に~
【プラスミドデータベース構築の活動(2023年~2026年) 】※当活動の詳細はこちらをご参照ください。
当活動はグループ3の一部の研究チームが中心となって進めておりましたが、財団としてプラスミド学の国際的な発展や薬剤耐性のまん延などの社会課題解決の重要性を認識し、正確なデーターベース構築を短期間で完成させるために企業様に推進支援を依頼いたしました。
その結果、複数の企業様(※)にご賛同いただき、ご支援を受けることができましたが、まだ十分とは言えない状況です。
当活動の詳細はこちらよりご参照いただき、ご興味ご関心がありましたら、財団事務局までご連絡ください。
※アサヒクオリティーアンドイノベーションズ株式会社様、三機工業株式会社様、サントリーホールディングス株式会社様、 住友ファーマ株式会社様、横河電機株式会社様 (五十音順)
その他、企業からのご要望に基づき、基礎研究者との個別相談の機会を提供しています。
ご興味・ご関心がありましたら、財団事務局までご連絡ください。
お問合せ先:公益財団法人 大隅基礎科学創成財団 事務局
TEL:045-459-6975
FAX:045-459-6976
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