財団の活動
研究の助成(第8期)
公益財団法人 大隅基礎科学創成財団
第8期(2024年度)研究助成 選考結果について
第8期研究助成でも例年通り、一般生物学研究(基礎科学(一般))、及び酵母を対象とした基礎研究(基礎科学(酵母))の公募を行いました。2024年5月7日~6月30日の公募期間に全国の研究者から、基礎科学(一般)170件、(酵母)31件の申請を受け付けました。本財団の選考委員による厳正な審査を行って助成候補を選定し、理事会の承認を得て、基礎科学(一般)6件、(酵母)3件に決定しました。今回決定した助成金額(助成期間2年)は、基礎科学(一般)4,800万円、基礎科学(酵母)1,200万円となりました。
基礎科学(一般) 6件
(氏名五十音順)
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氏名 | 所属 | 研究課題 | 選考委員会評価 |
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鹿毛 あずさ | 室蘭工業大学 | 「緑の酵母」クラミドモナスが重力を生理的に感知するメカニズム | 単細胞のクラミドモナスが水中を上に向かって泳ぐ重力感知走行の機構の研究。鞭毛表面のタンパク質とCaチャネルに着目して解析する。力学的・生理的メカニズムの関与を実験データに基づいて考察した上での提案で、基礎生物学的に興味深い。 |
佐藤 裕公 | 群馬大学 | 巨大膜集合体形成を介した卵リソソーム依存的分解経路の制御メカニズムとその意義の解明 | 未授精卵に分解系のオルガネラの集合体を発見、これが受精後4-8細胞期にばらけてリソソーム依存的分解を開始すると考えて、独自に開発した発 生を妨げない低侵襲ライブ観察法と低侵襲遺伝子発現操作で追及する。 |
古谷 将彦 | 福岡大学 | オーキシンのシグナル伝達と極性輸送のフィードバック機構の解明 | 植物ホルモンのオーキシンは生合成部位から作用部位に輸送される。このオーキシンの極性輸送とシグナル伝達とのフィードバック機構を、数理 モデルも活用し解明するユニークな提案である。 |
本田 知之 | 岡山大学 | ヒトゲノムに隠された抗ウイルス防御機構の解明 | 過去のウイルス感染の記憶がゲノムにウイルス由来の塩基配列として残り、そこから生じるncRNAが次に侵入したウイルスの増殖を阻害するのではないか、という、自らの発想、証明されればあらたな免疫系の発見としてその意義は大きい。 |
渡邊 崇之 | 総合研究大学院大学 | 昆虫脳の性決定システムはどのように進化・多様化したのか? ~原始的な特徴を色濃く残す不完全変態昆虫からのアプローチ~ | 不完全変態昆虫コオロギの性決定機構は、よく研究されている完全変態ショウジョウバエとは違っていることを発見し、性特異的スプライシング を受ける未知の性決定因子の同定を目指す意欲的な研究。昆虫の性決定システムの進化・多様化について、洞察を進める。 |
和田 洋 | 筑波大学 | 軟体動物の殻形成に関わる比較発生進化学による二枚貝ボディプランの進化の解明 | 腹足類の発生過程における貝殻形成細胞の誘導機構をもとに、二枚貝のボディプラン進化のメカニズムに迫る研究。蓄積のある研究であり成果が期待できる。 |
基礎科学(酵母) 3件
(氏名五十音順)
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氏名 | 所属 | 研究課題 | 選考委員会評価 |
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丑丸 敬史 | 静岡大学 | オートファジーに連動した液胞による核内構造体制御の解析 | 申請者は核内構造体のオートファジーの選択性が被分解物の配置により制御されていることを明らかにするなど、地方大学において優れた研究を展開している。本申請は核内構造の局在性が核外から制御されているという申請者らの発見に基づき、その機構を明らかにしようとするものであり、高い独創性を有する。 |
神 奈亜子 | 理化学研究所 | 新規小胞体液胞間タンパク質輸送モデルの構築 | 申請者は出芽酵母における自らの観察に基づいて小胞体・液胞間に新たな輸送経路の存在を提唱している。本研究では独自に開発したRUSH法により、より詳細に出芽酵母の液胞タンパク質の輸送経路を解析することを目的として、新たな輸送経路は真核生物に広く保存されている可能性もある。 |
須田 恭之 | 筑波大学 | 出芽酵母胞子形成における生体膜消失メカニズムと生物学的意義 | 申請者は前胞子膜・液胞膜の膜消失という出芽酵母の胞子形成時の生理現象と胞子成熟・発芽過程での細胞体制変化との関連に注目し、その分子機構の解明を目指している。古くから知られているにも関わらず十分な解析がなされていない現象に、最新のイメージング技術を駆使して取り組む独創性の高い研究計画である。 |