財団の活動
研究の助成(第6期)
公益財団法人 大隅基礎科学創成財団
第6期(2022年度)研究助成 選考結果について
大隅基礎科学創成財団の第6期研究助成では、一般生物学研究(基礎科学(一般))、及び酵母を対象とした基礎研究(基礎科学(酵母))の公募を行いました。2022年5月6日~6月30日の公募期間に全国の研究者から、基礎科学(一般)123件、(酵母)30件の申請を受け付けました。本財団の選考委員による厳正な審査を行って助成候補を選定し、理事会の承認を得て、基礎科学(一般)8件、(酵母)3件に決定しました。
今回決定した助成金額(助成期間2年)は、基礎科学(一般)4,800万円、基礎科学(酵母)1,200万円となりました。
基礎科学(一般) 8件
(氏名五十音順)
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氏名 | 所属 | 研究課題 | 選考委員会評価 |
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伊藤 道彦 | 北里大学 | 異種交配における片親種ゲノムの選択的欠失の分子機構 ~種アイデンティティ(種とは何か)を探る~ | メスゲノム特異的な性決定遺伝子を始めとする独自の発見に根ざした研究。 |
井上 晋一郎 | 名古屋大学 | マグネシウムイオンによる新奇気孔開口誘導機構の解明 | 自ら見つけたMg輸送体が気孔開口の重要因子であることを証明しようという植物研究のブレークスルーとなり得る研究である。 |
岡村 勝友 | 奈良先端科学技術大学院大学 | 非典型的リボソームRNA生合成経路で産生される非典型的miRNAの生合成機構の解析 | リボソーム生合成経路から予想外の機能産物(非コードRNA)が生じるという発見を展開する研究。 |
島田 裕子 | 筑波大学 | 寄生蜂の生存戦略を支える分子機構の解明 | 自身で発見した寄生蜂とショウジョウバエの興味深い関係を分子レベルで解明しようとする研究。 |
竹内 勇一 | 富山大学 | ニューロゲノミクスによる利き行動制御の解明 | 魚を使って右利き左利きの研究を実質的に一人で進めているユニークな研究。 |
武尾 真 | 理化学研究所 | ニッチスイッチングによる新たな形態リズム創出メカニズムの解明 | ニッチが周期的に切り替わることによる幹細胞制御と、微小環境変化を駆動するメカニズムの興味深い研究。 |
野口 巧 | 名古屋大学 | 翻訳後アミノ酸変換による光合成酸素発生系の形成機構 | 光合成酸素発生系に翻訳後アミノ酸変換が起きるという発見の機構や役割などを研究する。 |
野村 真 | 京都府立医科大学 | 化石人類特異的なアミノ酸変化によるヒト表現型進化の再構築 | 化石人類の遺伝子がマウスの形態に明瞭な影響を与えるという独創的で夢のある研究。 |
基礎科学(酵母) 3件
(氏名五十音順)
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氏名 | 所属 | 研究課題 | 選考委員会評価 |
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加藤 太陽 | 島根大学 | 新規のヌクレオソーム配置規則から迫るエピゲノム制御の理解 | ヌクレオソーム配置を解析する上での技術的問題を克服するための方法論を確立。ヌクレオソーム配置という観点から、塩基配列の生理的意義を議論しようとしている。ウェットとドライの両面からの研究のバランスが良い。 |
中山 潤一 | 基礎生物学研究所 | 胞子の休眠状態を制御するクロマチンの構造基盤 | 分裂酵母の胞子細胞のクロマチン構造の解析を行い、ヒストン修飾変化を手がかりに、休止状態がどのように確立され、維持されているか、転写記憶の伝播が制御される現象を見出している。酵母の胞子形成の生理学に正面から取り組んだ意欲的な基礎研究。 |
八代田 陽子 | 理化学研究所 | 分裂酵母のオキシリピンを介した細胞間コミュニケーションの解明 | Nitrogen Signaling Factorという化合物の同定は単細胞である酵母の細胞間コミュニケーションのメカニズムと栄養欠乏条件における酵母の生理学にケミカルバイオロジーから切り込んだ独創性の高い研究。そのメカニズムの解明は基礎・応用を問わず、重要と考えられる。 |